第10回 講師:河野俊也さん(12期生)メタボリックシンドローム=その歴史と根拠、何故ブームは萎んだか=

日 時 11月21日(火) 19時~  
テーマ メタボリックシンドローム
=その歴史と根拠、何故ブームは萎んだか=
講 師 河野 俊也(12期生)
    元大塚製薬㈱学術部長
<概要>
城南高校在学中はサッカー部所属、強豪東福岡を県大会で撃破した戦歴をもつ。西南学院大学卒業後に大塚製薬へ入社、2年で社内営業成績トップとなる。同社学術部長を経て現在は大塚製薬子会社の株式会社リリアム大塚に転籍勤務(医療機器メーカー)。大塚製薬は、ボンカレーやオロナミンC、ポカリスエット、カロリーメイトなどのヒット商品メーカーとして知られている。
メタッボリックシンドローム(以下「メタボ」と表記)とは、内臓脂肪症候群といい、内臓脂肪の蓄積で肥満となり、①高血圧、②高血糖、③脂質代謝異常、の3要素が組み合わさることにより複数の血管系の疾患(心筋梗塞・血栓・脳卒中)の病態であることを示すもので、男性特有の病態であるという。
メタボ傾向となる理由としては、食事過多や運動不足により内臓脂肪が蓄積し、これにより糖尿病・高血圧・高脂血症・動脈硬化などの予防に効果的な「アディポネクチン(善玉ホルモン)」の分泌が抑制され、逆に「アディポサイトカイン(悪玉ホルモン)」の分泌が促されて動脈硬化等が促進されることにある。従ってメタボ体質は、やがて糖尿病・高血圧症・高脂血症の疾患体質に変化し、これが更に「命に係わる」深刻な疾患を引き起こす要因となるのである。
メタボの概念はアディポネクチンの発見者である松澤佑二医師(大阪大学名誉教授)が提唱し、その健診制度を松田晋哉医師(産業医科大学教授)がシステム化して、我が国では2008年から特定健診制度が開始され、40歳から74歳までの保険加入者を対象に健診が義務化された。現在ではメタボ予備軍も含め約2000万人が該当するといわれ、医療費約2兆円を削減したいと厚労省は考えているようである。
メタボ健診による予防や治療は国民の健康維持に重要なものと考えているが、一方では予防健診や治療の必要性の世論のブームは下火で、行政や医療現場の取組姿勢も年々希薄化の傾向にあるという。その要因はマスコミ等のつまらない覇権争いあるのではないか、とも考えられているそうだ(講師談)。

懇親会では前回(第9回)講師の清原美樹さんのbirthdaypartyを行いました