第21回 講師:小野雄壱さん(10期生)私たちの身近な「水」の話=今そこにある危機=

日 時 1月21日(火) 19時~ 
テーマ 私たちの身近な「水」の話=今そこにある危機=
講 師 小野雄壱(10期生)技術士(環境部門)

<概要>
 城南中学校から城南高校へ入学されラグビー部に所属。3年時には県大会ベスト8となる。その後山口大学工学部資源工学科を経て同大学院を卒業され、栗田工業株式会社に入社。その後、営業支援・研究開発からコンサル事業を経て、現在は同社関連企業の栗田総合サービス株式会社に技術者として携わる。そのコンサル時代に「工場等の節水技術」を学び、この知見や経験等に基づくセミナーとなった。
 日本は世界的にみて資源としての「水」の総量は豊富であり、年間降雨量の2割相当を飲用水・工業用水等に使用し、8割相当は余剰水量として川へ流れるか地下浸透となる。一方、特に降雨量が少ない国々(世界の約30%)ではその比率が逆転し余剰水量が2割未満となる国や、国の使用水量よりも降雨量が少ないマイナス現象となる国もある。地球温暖化現象で更にこれらの歪は今後加速すると思われる。
 日本国内での水に関する問題としては、インフラ整備の劣化(耐用年数30年といわれる上水道給水管の維持改修等)、降雨による水害リスク(天井川:周辺地域よりも川底が高い=堤防決壊で甚大な被害想定)、工場排水の水質改質(水質改善=浄化技術向上)、水道水へのPFAS濃度(PFAS(ピーファス)=有機フッ素化合物の総称で自然界には存在しない人口の化学物質で人体への健康影響が懸念されるもの)、上水道供給会社の外資系進出(水道供給会社運営が行政から外資へ移転=水道水供給に不安定化の懸念:仙台市例)など多くの問題に直面している。
 しかし、これら解決が必要な問題に対して国民や社会が「無関心」であることが一番の問題点であるという。
 いま、我が国の水道水供給体制は、量と質において世界的にも高水準が維持され、何不自由なく使用することができているが、これを当たり前と思わず、自らの問題として関心を寄せ、将来の我が国の「水」に関する課題と解決方法について常に自分で考えることが必要である、と説かれた。以上