福岡県立城南高校同窓会/校章・名称使用 認証番号 №00002

第32回 講師:古屋聡一さん(25期生)AI・ロボ時代の責任あるイノベーション

日 時 2026年2月17日(火)19時~
テーマ AI・ロボ時代の責任あるイノベーション
講 師 古屋聡一さん(25期生)日立製作所 研究開発グループ システムイノベーションセンタ 主管研究員

<概要>
 今回は、25期生の古屋聡一氏を講師に迎え、「AI・ロボ時代の責任あるイノベーション」をテーマに講義が行われた。古屋氏は日立製作所の研究開発グループにおいて、先端技術と社会システムの融合に携わる立場から、急速に進展するAIやロボティクスの現状と、それに伴う社会的責任について、実例を交えて解説された。講義の冒頭では、自身の講話を録音しAIでスクリプト化・スライド生成を行う実演が紹介され、AIが知的作業の補助ツールとして既に実用段階に入っていることが示された。

 まず、技術の進展の具体例として、中国のUnitree社による人型・四足ロボットの動画が紹介され、危険作業の代替や日常生活への応用など、フィジカル領域におけるAIの浸透が着実に進んでいる現状が示された。また、Neuralinkに代表される脳と機械を直接接続するインターフェースの研究に触れ、将来的には言語を介さずに情報を直接伝達する可能性があること、その一方で倫理的・社会的課題への慎重な検討が不可欠であることが指摘された。

 さらに、AIの進化は単なる個別技術の進歩ではなく、ネットワーク、センサー、データ解析、ロボティクスなどの技術が相互に影響し合う「技術コンバージェンス」によって加速していると説明された。生成AIの急速な発展により、文章、画像、音声、さらにはプログラムコードの生成まで可能となり、AI自身がより高度なAIの開発を支援する段階に入りつつある。いわゆるAGI(汎用人工知能)の到来時期については、数年以内とする見方から数十年先とする見方まで幅があるものの、人間の知的活動のあり方を根本から変える可能性が現実的に議論されている現状が紹介された。

 こうした技術革新は、雇用や社会構造にも大きな影響を与える。従来は単純作業の代替が中心と考えられていたが、生成AIの登場により、高度な知的業務も補完・代替の対象となりつつある。一方で、人間同士の関係性を基盤とする医療や福祉、最終的な責任判断を伴う領域など、人間の役割が引き続き重要である分野も多いことが強調された。また、技術は使い方次第で格差を拡大させる可能性もあるが、適切に設計すれば就業機会の拡大など社会的包摂を促進する力を持つことも示された。

 講義の後半では、「責任あるイノベーション」という観点から、技術開発は単なる利益追求にとどまらず、社会全体への影響や将来世代への責任を考慮して進める必要があることが論じられた。AIの計算資源が大量のエネルギーを消費することによる環境負荷や、技術利用における倫理的配慮など、研究者・企業・社会が共に考えるべき課題が提示された。また、技術の進展に対応するためには、固定的な規制ではなく、実装と並行して柔軟に制度を整備していく「アジャイル・ガバナンス」の重要性が強調された。

 質疑応答では、AIと人間の共進化の可能性、日本社会の強みと課題、教育のあり方など幅広いテーマについて活発な議論が交わされた。技術の進歩は避けられない流れであるが、その方向性を決めるのは社会と人間の選択であるとの言葉が印象に残った。急速に変化する時代の中で、技術と社会の望ましい関係を改めて考える契機となる、示唆に富んだ講義となった。

※講演の内容は個人としてのものであり、所属する組織・機関を代表するものではありません(講師より)
※後半の添付スライドについて(AI自動生成)
 講演の音声認識で書き起こしたスクリプトから(逆に)スライドを機械的に生成したものです(講師より)