福岡県立城南高校同窓会/校章・名称使用 認証番号 №00002
第34回 講師:波多江辰季さん(19期生)介護への備え=その時になって困らないために=
日 時 2026年4月21日(火)19時~
テーマ 介護への備え=その時になって困らないために=
講 師 波多江 辰季さん(19期生) ライフプランナー
<概要>
今回は、19期生の波多江辰季氏を講師に迎え、「介護への備え」をテーマに講義が行われた 。波多江氏はライフプランナーとして、少子高齢化に伴う公的保障の負担増や制度改定の動向を踏まえ、医療・介護リスクに対して個人がいかに自助努力で備えるべきか、膨大なデータと実例を交えて解説された 。
講義の冒頭では、1970年には約10人で1人の高齢者を支えていた「富士山型」の人口構造が、2070年には1.32人で1人を支える極めて不安定な姿へ変貌する予測が示され、社会保障制度に頼り切りになれない現状が浮き彫りとなった。
まず、社会保障給付費の推移として、2000年から2024年にかけて介護費用が約4.3倍(3.2兆円から13.9兆円)に急増している実態が紹介された。これに伴い、介護保険料の上昇や自己負担割合の引き上げ、さらに資産保有量に応じた給付制限の厳格化が進んでおり、「無料化の時代」は完全に終焉したことが強調された。 自治体によって保険料に約3倍の開きがあるなど、居住地による格差も無視できない現状が示された。
次に、三大疾病(がん・心疾患・脳血管疾患)の死亡率が劇的に低下している現状について触れられた。これは医療の進歩による喜ばしい成果である一方、一命を取り留めた後の後遺症や慢性化により、「生存後の介護リスク」が相対的に増大していることを意味する。特に脳梗塞については、発症後3時間以内の対応が予後を左右するため、顔のゆがみや発語異常などの初期兆候を見逃さないチェック法が紹介され、予防と早期発見の重要性が説かれた。
また、認知症の前段階である「軽度認知障害(MCI)」についても、適切な介入により約4割が回復可能であるという希望あるデータも示された。
講義の後半では、家計と家族への負担が論じられた。核家族化や単身世帯の増加により、かつての「三世代同居」による家族内介護は困難となり、老老介護や遠距離介護が一般化している。
要介護2の状態で訪問入浴を利用すれば、月額限度額を容易に超過し全額自己負担が発生する可能性など、具体的な費用感も提示された。さらに、認知機能の低下によって銀行口座が凍結され、施設入所資金の移動ができなくなる「資産アクセス停止」のリスクについても注意が促された。
最後に波多江氏は、介護期間は不確実であり、平均的な自己負担額とされる約700万円〜1,200万円という数字も、今後の人手不足や単価上昇で増大する可能性が高いと指摘された。そのため、元気なうちに家族と介護方針や費用分担を話し合い、資産管理や決済手段を整理しておくことが、本人と家族の生活を守る「責任ある備え」であると結んだ。
質疑応答では、個別の保険設計や制度の盲点について活発な議論が交わされた。制度の変遷を冷静に見極め、自身の健康管理と経済的準備を並行して進めることの重要性を再認識する、非常に示唆に富んだ講義となった。





